まとめサイト「保守速報」に10月7日、「立憲民主党のツイートをRTした約11000人のうち10913人が『非公開』という異常事態wwwwwwwwww」というスレッドが掲載された。
フォロワーが急増する立憲民主党。ツイートを拡散させているアカウントのほとんどが非公開アカウントであり、異常だという指摘だ。
これを読んだ人たちの中には、フォロワーやRTをカネで買っているのではないか、との疑惑が広がっている。
もし、本当に立憲民主党のツイートを拡散させているのが非公開アカウントばかりであれば、それは「異常事態」だ。何らかの不正があるのではないかと疑惑を持たれても仕方がない。
BuzzFeedは選挙の検証企画の第3弾として、この疑惑についてファクトチェック(事実の検証)した。
結論からいうと、これはTwitterの仕様で、非公開という表示がすなわち非公開アカウントをさす訳ではなく、「異常事態」というのは誤情報だ。
したがって、これをフォロワーやRTをカネで買った証拠ということはできない。
BuzzFeed
拡散しているアカウントは非公開?
保守速報のスレッドで「異常」と指摘されたのは、立憲民主党の公式アカウントが10月4日にツイートしたこの投稿だ。
RTは1万、いいねは2万を超えて拡散を続けている。
これに対して、まとめサイト「保守速報」は10月7日、「立憲民主党のツイートをRTした約11000人のうち10913人が『非公開』という異常事態wwwwwwwwww」というスレッドを掲載した。
保守速報
確かに、RTした11000人のうち10913人が非公開アカウントであれば、これを異常事態と呼びたくなるのはわかる。通常では考えられない割合だ。
スレッド内には「やってもうたwww」「やることがいちいち汚いんだよ」などのコメントがついた。
このスレッドを見て、フォロワーやRTをカネで買っているのではないかと怒りを覚えた人も少なくないだろう。
BuzzFeedが立憲民主党のツイートをリツイートしたユーザーを確認したところ、たしかに「13158人の非公開アカウント」という表示があった。
ここまでは、保守速報の指摘通りだ。
Twitter / BuzzFeed
Twitterの仕様ではないか
しかし、これはTwitterの通常の仕様であり、「異常事態」ではない。
1つのツイートがリツイートされる回数に制限はありませんが、Twitterに表示される公開ツイートのリツイートは、最新の投稿100件までです。(Twitter社ヘルプセンターより)
該当の立憲民主党のツイートは8日午前の時点で、13245件リツイートされていた。そのうち、「非公開アカウント」と表示されるのは13158件だった。
最新の100件以外は表示されない仕様を考えると、この「非公開アカウント」の数とほぼ一致する。
つまり、ここで言う「非公開アカウント」とは、いわゆる鍵をつけて他のユーザーにツイートを見られなくしたアカウントのことではなく、たんに、ツイッターの仕様上、リツイートが公開されていないアカウントをさしているようだ。
他の政党のツイートは
自民党が10月にもっとも多くのリツイートを得たツイートは、これだ。
この2581件のリツイートをしたユーザーを見ると、2319人が「非公開アカウント」と表示される。
公開される100件を引いた数とほぼ一致する。
Twitter / BuzzFeed
念のためほかの政党や、省庁や民間企業のアカウントでも調べてみたが、同じ現象になる。もちろん、記者(播磨谷)個人のアカウントでもそうだ。
ちなみに保守速報のツイッターアカウントでも同じ現象が起きている。このスレッドのツイートを見ると、1440件のリツイートのうち、1342人が「非公開アカウント」。
保守速報は、これについても「異常事態」と言うのだろうか。
※記事内のアカウントの数、リツイート件数などはいずれも8日午前時点のもの
立憲民主党のフォロワーは、約160,000人(8日午前9時時点)。10月2日にアカウントが開設され、5日午前11時にフォロワーが12万人を突破。自民党の約111,000人を上回り、主要政党ではフォロワー数1位になっていた。
「フォロワーをカネで買っている」との疑惑がネット上で拡散されていたが、BuzzFeed Newsの調査では、この疑惑も根拠がない。
確かに各種ツールを使って調査すると、ツイートがほとんどなく、フォロワーも少ないアカウントが一定数、立憲民主党をフォローしていることが確認できるが、それは他の政党や公的団体も同じ。
できたてのアカウントで、ほとんど活動していないフォロワーが多いのは不自然との指摘もある。しかし、日本は情報収集専門アカウントを持つユーザーが多いため、それだけでフォロワーを買っている根拠とはならない。
BuzzFeed Newsは政治家の発言やメディアの報道、ネット情報などを検証する「ファクトチェック」を実施します。メディアや有識者による連合組織「ファクトチェック・イニシアティブ・ジャパン(FIJ)」とも協力しています。
情報提供はこちら( japan-report@buzzfeed.com )