来年で引退することを発表した安室奈美恵。彼女は多くの女性に影響を与えた。
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タートルネックセーター、バーバリーチェックのミニスカート、厚底ブーツ、ロングヘアーに細眉…。1996年前後、彼女に憧れた女性たち「アムラー」は社会現象になった。
デビュー25周年を迎え、自身40回目の誕生日に発表された突然の引退。いまアムラーたちはなにを思うのか。BuzzFeed Newsは「宇都宮のアムラー」2人のもとを訪ねた。
三留さん(写真左)と江口さん。安室ちゃんグッズを手に
Takumi Harimaya / BuzzFeed
宇都宮出身で宇都宮在住の三留沙弥香さん(32)と江口美沙さん(34)。いわゆる“アムラーど真ん中”より下の世代ではあるが、安室奈美恵に影響を受けてきた世代だ。
彼女たちが安室奈美恵を最初にみたのはデビュー前。「スーパー・モンキーズ」結成前のことである。沖縄アクターズスクールの生徒を紹介する番組が宇都宮でも放送された。
「もともとダンスが好きだったこともあります。それに当時は、いまみたいに憧れる人がいなかったんです。そこに出てきた同い年くらいの歌って踊れる女の子。衝撃で一気に虜になりました」と三留さん。
三留さんが生まれて初めて買ったCDは安室奈美恵13枚目のシングル「RESPECT the POWER OF LOVE」。お小遣いを貯めて買った。いまも大切に持っている。
保存状態の良さから伝わる愛情
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一気に安室奈美恵にハマっていった三留さんと江口さん。安室奈美恵をはじめ、MAXやSPEEDのダンスを一生懸命真似た。そこに2人が出会うきっかけができる。
「高校一年生のとき、宇都宮に『沖縄アクターズインターナショナル宇都宮校』ができたんですよ! 迷わず入学しましたよね。その頃はダンス教室が少なくて。かといって東京まで出て通うにもお金がかかりますし」と江口さん。
同校はダンスやボイストレーニングを習うスクール。江口さんはそこの一期生、三留さんは二期生だった。
2人は約3年間スクールに通った。在籍中は地元テレビに出演し、「109 宇都宮」に入っている店舗を紹介したり、地元アイスホッケークラブ「栃木日光アイスバックス」の応援歌を歌ったりした。ちなみに「109 宇都宮」は2001年に開業したが、経営不振に伴い2005年7月に閉店している。
同校の卒業生ではデビューした人もいれば、インストラクターとして現在も活躍する人もいる。
アムラーのファッションとメイク
スクールに通っていた頃の写真。眉毛が細い
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当時の服装やメイクはどうだったのか。
「ダンスをやっていたので、いわゆるアムラーよりは“Bっぽい”感じでしたね。メンズのダボめのデニムにパーカー。それで左足の裾だけあげてみたいな。ブランドでいえば『エルビー・ゼロスリー』とか『シュープ』とか」(三留さん)
現在の「シュープ」。“Bっぽさ”はいまも健在だ
Instagram: @babyshoop_official
「やっぱり編み上げの厚底ブーツ、ミニスカートははいていましたね。ブーツの下には見えるか見えないかくらいのニーハイを履いて。トップスはヘソ出しTシャツに、中にはいつでも海に行けるように水着を着るんです。当時、見せブラなんてなかったですし、なんとなく」※栃木に海はない
「メイクは眉下に白いシャドウを塗って、もちろん細眉。中学生のころ、オリオン通りに100均ができて友達とそこで買っていましたね。アイライナーは油性マッキーで書くんですよ。ウォータープルーフなんてなかったんで。けれど、あれ意外と書けなくて…」(江口さん)
ポップティーン、ブレンダ、Sカワ…。安室奈美恵が表紙の雑誌はすべて買った。表紙と安室が映っているページだけ切り抜き、コルクボードに貼ってコレクションしていた。部屋はヒョウ、ゼブラ、ハイビスカス柄のものが溢れた。
その2人もいまはそれぞれ子どもが2人いる母親である。当時の写真を見ながら「楽しかったね」と語り合う。
引退を知ったとき。安室奈美恵の魅力
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引退の発表は、テレビの速報とファンクラブからのメールで知った。
「もう、すごい泣きました。すぐにLINEで友達に連絡をして、もうみんなパニック。この前の沖縄公演も行きたかったんですが、みんな子育て世代でなかなかいけないですし。『30周年はみんなで行こうね』と話していた矢先に…」(三留さん)
「なにかをやめることの決断って大きいじゃないですか。それで25周年できっぱり辞める。その決断ができることってすごいなって」(江口さん)
三留さんは話す。
「安室ちゃんが前に『私が憧れるのは歌手の安室奈美恵です』と言っていたんです。普段の安室奈美恵とは別人格で見ていて、そんなことが言えてしまうくらい信念を持っているのは同性として本当に尊敬します。私も20歳のころに子どもができて、結婚しているんです。勝手に安室ちゃんに投影してしまって」
1997年、20歳の安室奈美恵は結婚と妊娠を発表。翌年から産休に入り、5月に出産。同年の紅白歌合戦で一年ぶりに公の場に登場。「CAN YOU CELEBRATE?」を涙を目に浮かべながら歌い、復帰をした。
安室奈美恵の魅力は? という問いにこう答える。
「歌やダンス、ファッションだけでなくて、安室奈美恵が好きなのだ。歌手でもない。安室奈美恵は安室奈美恵というカテゴリーなんです」
いま、安室ちゃんに伝えたいこと
AFP=時事
最後に、いま安室ちゃんに伝えたいことを聞いた。
「寂しいけれど、ありがとう。安室ちゃんがいなかったら、全然違う人生でした。私の青春時代に安室ちゃんがいてよかった」(江口さん)
「愛していますって伝えたいです。正直ショックはショックですけれど、どれだけ安室ちゃんに支えられたかわかりません。大好きです」(三留さん)
三留さんが好きな安室奈美恵の楽曲のひとつ「I will」は安室本人が作詞を担当しており、ファンに向けたメッセージになっている。そこにこんな一節がある。
言葉にできないこの思いを歌い続けていたいから
忘れないでね どんな時もずっと and I will be with you