政府が4月13日に発表した「海賊版サイトブロッキング」の事実上の命令。
インターネット業界からは「法的に問題がある」と反発の声が上がっているが、この人はどう見たのか。元2ちゃんねる管理人の西村博之さん(通称ひろゆき)だ。
経緯を振り返る
漫画村 / anitube
漫画や動画を違法にアップロードする「海賊版サイト」は社会問題になっていた。コンテンツ海外流通促進機構によれば、海賊版サイトによる2017年9月から2018年2月の著作権者側の被害額は計4000億円以上だという。
政府は4月13日の知的財産戦略本部・犯罪対策閣僚会議で、海賊版サイトについて、緊急対策を決定。
民間事業者(プロバイダー)が自主的な取り組みとしてサイトへのアクセスを遮断する「サイトブロッキング」できるよう制度を検討していく。
発表されたブロッキング対象サイトは、「漫画村」「Anitube」「Miomio」の主要海賊版3サイトおよび、これらと同一と見られるサイトとした。「自主的な取り組み」としているが、事実上、政府からの命令といえる。
しかし、明確な法的根拠がないことから業界は反発していた。
一方、講談社は13日に緊急声明を発表し、ISP(サービスプロバイダー)や流通事業者などの協力を仰いだ。今後も海賊版サイトに対しては刑事告訴や民事での提訴など臨むとしている。
集英社も同日、今回のブロッキングは「海賊版対策において大きな前進と考えます」との声明を出した。
「イタチごっこになるだけ」ひろゆきの見解は?
西村博之さん(2007年撮影)
時事通信
元2ちゃんねる管理人のひろゆきさんは、今回の「海賊版サイトブロッキング」問題をどう見たのか。
現在フランスにおり、BuzzFeed Newsの取材にメールで応じた。以下、一問一答。
−政府の海賊版サイトブロッキング。賛成ですか、反対ですか。
反対です。イタチごっこになるだけで、海賊版サイトのブロックができないことがすでに証明されてるからです。
−今回のブロッキング、なにを危険に感じていますか。
ブロッキングで解決できない問題だとわかっていながら、特定のサイトをブロックする能力を一部の人が握っちゃうのがマズいと思っています。
−「政府が簡単にサイトを潰せることができる」と一部批判の声もあります。
技術的にブロックしてもイタチごっこになるだけなので、「政府が簡単にサイトを潰せることができる」という認識自体が間違いだと思います。
違法なサイトは潰せないけど、一部の利権団体が気に入らないサイトを困らすことはできるというのが実情だと思います。
−ひろゆきさんだったら、海賊版サイトを取り締まるにどのような手段を取りますか。
儲かるから違法な海賊版サイトが続くわけで、儲からないようにすればいいと思います。
・広告代理店や広告主は、海賊版サイトと知っていながら、広告を出して利益を得ている
・広告代理店や広告主は、海賊版サイトの運営に必要な資金を渡している
この2点から、共犯として扱うような法改正をしたほうがいいと思います。
−最後に伝えたいことがあれば。
ブロッキングで特定の海賊版サイトを潰したとしても、運営者はいくらでも似たようなサイトを作れるし、儲かるからといってマネをする人も出てくるので、本質的には意味がないと思っています。
商売的に割に合わないというかたちにすると真似する人も出てこないです。
ってことで、本当に「海賊版サイト」を潰したいのであれば、ブロッキングではなく、商業的に成り立たない方法を作るべきなんですけど、そっちの話にはまったくならない。
「日本人の見るインターネットを管理する利権団体」を作りたい人たちが海賊版サイトを理由にしてるのかなぁ…と思っています。