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私小説「夫のちんぽが入らない」作者が込めた思いとは

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「夫のちんぽが入らない」実話を基にした小説が発売される。

「夫のちんぽが入らない」実話を基にした小説が発売される。

扶桑社 / Via fusosha.co.jp

著者は主婦のこだまさん(@eshi_ko)。これまでの人生を綴った私小説だ。

同書に込めた思いとは? BuzzFeed Newsは、こだまさんにインタビューを実施した。

ちんぽも入らない。みんなの輪にも入れない

ちんぽも入らない。みんなの輪にも入れない

▲こだまさん。顔は非公開で活動している

Takumi Harimaya / BuzzFeed

こだまさんは、主婦の傍ら同人活動を行っていた。2014年5月に開催された文学フリマで、合同誌「なし水」を仲間らと販売。

その中に収録され、本書の元となったのが「夫のちんぽが入らない」だ。

こだま(私)さんは、18歳の頃、同じ大学に通う男性と交際を始める。のちに夫になる人物で性格から趣味、志向も好みだった。

事件は起こる。初めて体を重ねようとした夜、彼の性器がまったく入らない。なぜかは分からないが入らない。

本書の書き始めには、このようにある。

いきなりだが、夫のちんぽが入らない。本気で言っている。交際期間を含めて二十年、この「ちんぽが入らない」問題は、私たちをじわじわと苦しめてきた。

周囲の人間に話したことはない。こんなこと軽々しく言えやしない。

何も知らない母は「結婚して何年も経つのに子供ができないのはおかしい。一度病院で診てもらいなさい。そういう夫婦も珍しくないし、恥ずかしいことじゃないんだから」と言う。

Takumi Harimaya / BuzzFeed / Via fusosha.co.jp

好きな人と性行為ができない。好きな人の子どもが産めない。それを周囲に責められる。

「夫のちんぽが入らないんです」と周りに相談もできない。

2人は入らないまま結婚をして、こだまさんは教師になる。そこでもまた、学級崩壊に直面するなど難局を迎えることになる。

田舎育ちで内気な性格。ちんぽだけではなく、人の輪にも入れない。“普通”になれないもどかしさと、周囲の声。本書では、心境が赤裸々に描かれている。

「過去の自分を整理できた」

本書を書いたことで、こだまさんは、こう話す。

「溜めていたものをすべて吐き出しました。担当編集さんから『ここをもっと読みたい』という読者目線の助言をたくさんいただき、原作に肉付けすることができました」

「主婦生活や仕事を人並みにこなせない自分をずっとダメな人間だと思っていました。めちゃくちゃな方向に走った時期もあったけど、『たくさんまわり道をした分、人の悲しみには敏感になれた気がする。全部意味のあることだった』と今は思います」

こだまさんは、ほかの男性のちんぽは入る。旦那さんもほかの女性なら性行為ができる。さらに、こだまさんの病気も重なり、2人は、子どもを持つことを諦めた。

「私たちは本当は血の繋がった兄弟で、間違いを起こさないように神様が細工したとしか思えないのです」と綴っている。

また、こんな一節もある。

「ちんぽが入らない人と交際して二十年が経つ。もうセックスをしなくていい。ちんぽが入るか入らないか、こだわらなくていい。子供を産もうとしなくていい。誰とも比べなくていい。張り合わなくていい。自分の好きなように生きていい。私たちには私たちの夫婦のかたちがある。少しずつだけれど、まだ迷うこともあるけれど、長いあいだ囚われていた考えから解放されるようになった」

決して1人ではない

最後にこだまさんは、このように話す。

「自分の思いを整理するために書いたところもありますが、SNSなどで『私も入りません』と同じ悩みを持つ人たちから声があって、1人じゃなかったんだと思いました」

「性的な問題に限らず、親との関係、学校や職場になじめないなど、ひとりで悩みを抱えている人に読んでいただけると嬉しいです」

タイトルからは想像できない真摯な叫びと、純粋なる愛が詰まった「夫のちんぽが入らない」。2017年1月18日発売予定。



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