彼女は、OLを辞めてポールダンサーになった。
Takumi Harimaya / BuzzFeed
彼女の名前は、まなつさん(@dokodeneru)。会社を辞めてポールダンサーになるまでを綴ったブログが話題になった。
BuzzFeed Newsはインタビューを申し込み、指定の新宿・ゴールデン街のラウンジバーに向かった。
同僚のブログに「おっぱいちゃん」
まなつさんは、もともと渋谷の某IT企業に勤めていた。業務内容は、WEBマガジンの企画、編集やSNSのアカウント運用など。
文章を書くことが好きだった彼女にとっては、“好き”を仕事にできる環境だった。しかし、彼女は半年で会社を辞めた。
きっかけは3.11にさかのぼる。
あの日をきっかけに、会社で「緊急時にも連絡が取れるように」と社員同士がTwitterをフォローし合おうことになった。
まなつさんが同僚の女性社員をフォローすると、その同僚がブログをやっていることに気がついた。
「物静かな子だったので、ちょっと意外でした。すると、ブログで私のことを『おっぱいちゃん』と呼んでいることを知ったんです。『今日は同期のおっぱいちゃんと取材。楽しかったぴょん』とかそんな感じで」
「ショックでした。『女の人からもおっぱい見られてるんだ』『あだ名にするほどおっぱいが特徴なんだ』って」
「しかも、それを全世界から見られるネット上に書いているなんて。IT会社なのに、ネットリテラシーが低すぎるだろって思いました」
その同僚とはランチに行ったり、仕事の愚痴を言い合えたりする関係ではあった。
「悪意はないと思うけれど、なんでそこなの? 私ってほかにないの?って。それをオープンな場で言われているのが嫌でした」
またブログでは明かしていないが、「社内に不倫カップルが多いところも嫌だった」と話す。
まなつさんはこの後、会社を辞める。しかし、理由はそれだけではない。
「人って死ぬんだなって」
Takumi Harimaya / BuzzFeed
話は3.11に戻る。
あの日、まなつさんはまだ渋谷のIT企業に勤めていた。友人の家に避難し、中継で押し寄せる津波をみていた。そこでこう思ったそう。
「人って死ぬんだな。だったら私も死ぬじゃん」
未曾有の大災害を見て、当然のことにあらためて気がついた。
その前年に、まなつさんの友人が亡くなっていた。『死』がまなつさんの“身近”にあった。
「単純かもしれませんが、やりたいことをやらないとダメだと思ったんです。極論かもしれないけど、実際にそうですし」
「とにかく、やりたいことをやらずに死にたくはないって。それなのに、同僚からは『おっぱいちゃん』扱い」
未曾有の災害。親しい人の死。同僚のブログ。3つが重なり、彼女は会社を辞めた。
ポールダンスとの出会い。そして
▲イメージ画像
Kasjato / Getty Images
まなつさんは、20歳のころからポールダンスを始めた。
出会いは、新宿二丁目で開かれたイベント。初めて見るポールダンサーに目を奪われた。
「二丁目の存在を知って、興味があって行ってみたんです。そしたら、ポールダンサーさんが登場して踊り始めたんです」
「『かっこいい』って思いました。その場で声をかけて、どこで習えるのか、どうやったらステージに立てるのかを聞いて。それでレッスンに通い始めました」
ポールダンスの魅力は「自由なところ」とまなつさん。決められた振り付けがなく、艶やかに踊ろうと、激しく踊ろうとダンサーの自由。その人の魅力が純粋に出ると話す。
死を意識して生きるまなつさん。最後にこんな質問をしてみた。
ー明日死んでも後悔しないですか?
「しないですね。全力でやりたいことに向かっていたので。しょうがないかって思います」
彼女は、今夜もどこかのステージで踊っている。
Takumi Harimaya / BuzzFeed