10月22日に投開票日が迫った第48回衆議院選挙。中には「特に支持する政党がないな…」という人もいるかもしれない。
しかし、投票用紙に「支持政党なし」「支持なし」と書くと、意図せずある政治団体に投票することになってしまう。
政治団体「支持政党なし」
第24回参議院議員選挙で選挙ポスター掲示板に貼られた政治団体「支持政党なし」のポスター(2016年7月5日撮影)
時事通信
ある政治団体とは「支持政党なし」(略称:支持なし)。
この団体は2014年の衆院選比例北海道ブロックで、社民党の約5万3千票を上回る約10万票を獲得し、話題を呼んだ。昨年の参院選でも比例代表と5選挙区に候補を立てたが、議席は得られなかった。
今回の衆院選も、比例東京ブロックに4人の候補者を立てている。
団体名から「ミスを狙っている」「ややこしい」など批判の声がある。注意を呼びかける声も拡散されている。
どのような団体なのか。
代表を務めるのは佐野秀光氏。情報通信ネットワークや登記情報提供サービス会社の代表取締役でもある。佐野氏と関する情報を時系列に並べた。
- 2009年 第45回衆院選・比例代表北海道ブロックに「新党本質」党首として立候補(7399票)
- 2010年 第22回参院選に東京選挙区から立候補(3662票)
- 2012年 第46回衆院選・東京4区から立候補(2603票)
- 2014年 第47回衆院選で「支持政党なし」として、比例代表北海道ブロックで立候補。約10万票を獲得
- 2016年 第24回参院選で比例区2名と選挙区8名に立候補を立てたが議席獲得には至らなかった
公式サイトでは「政策一切なし」を標榜。理由をこのように説明している。
支持政党なしは、無責任に政策を一切なしといっている訳ではないんです。
支持政党なしでは、一議席でもあれば、党のサイト上で国会に出ます全法案について、参議院のホームページにございます議案要旨および法律案を掲載し、その全法案に対して賛成の立場と反対の立場で解説をする予定でございます。(原文ママ)
支持政党なし / Via xn--68jubz91pp0oypc1c.com
「現在の日本の選挙制度では、支持する政党及び候補者がないとしても支持政党なし、該当者なしという選択肢がない」ことから、支持政党がない人の受け皿を目指すと主張している。
佐野氏は昨年の参院選後、withnewsのインタビューに「誤解を招いた票を取ろうとしているなど、党の考え方が正確に伝わっていなかったのかもしれない」と答えている。
総務省「政党名は問題ない」
誤解を招くような党名、団体名は問題ないのか。総務省選挙課はBuzzFeed Newsの取材に「(支持政党なしという党名は)問題ない」と話す。
投票用紙に「支持政党なし」または略称の「支持なし」と書いた場合、この団体に票が入るという。もちろん、この団体に投票したい場合はこう書けば良い。
しかし、冒頭でも述べたように「支持する政党がないから『支持なし』でいいや」と投票すれば、意図せずこの団体に票がいく。
支持する政党がないという意志を投票で示したければ、「支持なし」と書かずに、何も書かない「白票」や、まったく無関係なことを書くなど「無効票」にする方法がある。